「……なっ!?」
貴兄に向かって足を蹴り上げようとしていた煌が途中でピタリと足を止め、貴兄に向けていた視線をこっちへと向けた。
それを貴兄が見逃す訳がなく。
煌がこっちへ振り向いた瞬間、右拳を思いっきり腹部にめり込ませ、煌が倒れる前にこっちに向かって走ってきた。
煌……!!
前のめりに倒れていく煌を目で追い、右足を一歩前へと踏み出す。
けど、近付いてくる貴兄を見て、グッとその場に踏み留まった。
「凛音!お前……!!」
近寄って来た貴兄が張り詰めた表情であたしの両肩を強く掴み、前後に数回、激しく揺らす。
けど、動揺しているのか、言葉の続きは口が動くだけで声にはなっていなかった。
「貴兄……」
貴兄の言いたい事は分かってる。
今まであたしの気持ちを汲んで黙っていてくれた事を自分から言ったんだ。
驚くのは当たり前だと思う。
「……貴兄、ごめんね。隠してくれてたのに、ごめん。でももう隠さない」
これ以上喧嘩をくり返すのは嫌だから。
だから……。
「全部、言うよ」
「凛音……」
貴兄の表情が哀しいものへと変化していく。
その表情に少しずつ心が温かくなっていく様な気がした。


