Ri.Night Ⅲ



直ぐに体勢を立て直して顔を上げると、飛び込んできたのは二人の喧嘩している姿で。



「煌!貴!やめて!!」



二人に向かって何度も叫ぶけど、二人とも止めてくれない。


やだ。やだよ。


喧嘩して欲しくないのに、なんで……!







「凛音」



どうやって止めようかと考えていた時、不意に名前を呼ばれて振り向いた。


視線の先にはあたしを真っ直ぐ見つめる十夜が居て。


その漆黒の瞳は揺らぐ事なくあたしを捉え、ゆっくりとこっちに向かって歩いてくる。



……あぁ、そういう事なのか。



十夜の姿を見て分かってしまった。


あたしがしなければいけない事を。




「そう、だよね……」




あたしが決意をしない限り、“これ”がずっと繰り返されるんだ。


ううん。あたしが言わないから繰り返される。



去れば、追われる。


それは、あたしが“兄妹”と言わない限りずっと続いて行くんだ。



その事に気付いた時、さっきまで言えないと思っていた気持ちが嘘の様に消え失せた。





そうだよ。

あたしが言えば全て終わる。


貴兄と十夜達が喧嘩しなくて済むんだ。


誰も怪我しなくて済む。




何でこんな簡単な事に気付かなかったのだろう。


それはきっと、自分の事しか考えていなかったから。


十夜に、皆に嫌われたくないという自分勝手な想いを優先させていたから。


他人の事なんか全く考えてなかったから。