いや、兄弟ね。

 別にこれから出来てもいいけどね。今自分たちがお願いするのはちょっと照れるものがあるよね。

 確かに昔、自分たちも父や母に兄弟が欲しいってお願いしたこともあるよ。でも旅の途中だったから無理だったんだろうね。むしろシンとリィが出来ちゃったことが想定外だったみたいだしね。

 ミルトゥワに帰ってからも色々忙しくてそれどころじゃなかったみたいだよね。従兄のルドルフなんて五人兄弟だからちょっと羨ましくて、俺たちも欲しいって言ったら困った顔されてたよね。うん、今思い返してみると確かに困るよな。子育てって少なくとも一年以上は一箇所に留まらないといけないから自由きかなくなるし、立場上危険もあるし、そりゃ無理だよね、今なら分かるよ。てか、今も無理だよね──。

 そんな会話を視線だけでした双子は、それをこの小さな妹に伝えるべきか悩む。

 絶対無理だよ、なんて言ったら哀しむだろうし、しかし変に期待させるのも……。


「んじゃおれ、琴音と玲音にはたけ借りてくるだ」

「え?」

 シルヴィの言葉に、シンとリィはこてん、と首を傾げる。

「畑? なんで?」

「だって、赤ちゃんはきゃべつ畑から生まれんだべ?」

「は!?」

 シンとリィは同時に声を上げた。

「咲花の母ちゃんが教えでくっちゃんだ。赤ちゃんはきゃべつ畑から生まれでくっか、こうのとりっていう鳥さんが運んでくんだど。どっちになっか分がんねぇがら、とりあえずおれはきゃべつを育てるだ」

「な……」

 ちょっと待て、とシンとリィはシルヴィに手を伸ばした。



 それは本当か。

 地球の子どもはそうやって生まれてくるのか!!!!!



 兄ちゃんと姉ちゃんも知らなかったよ、まさかシルヴィに教えられるとは、と、双子はショックを受けていた。