最近シンとリィが修行に忙しくしているので、末っ子のシルヴィはちょっと寂しい。でも変わりに咲花や龍之介、最近ではすずも相手をしてくれるので、寂しさはなんとか紛れているようだ。

 そんなある日。

 咲花の家に遊びに行ったシルヴィが、大興奮で帰ってきた。

「兄ちゃああーん、姉ちゃああーん、おれもおとーと欲しいー!」

「え?」

 シンは逆立ちをして歩きながら、リィはストレッチをしながら振り返った。

「おとーと! めんこいおとーとが欲しいだ!」

 碧色の髪をぴょこぴょこさせながら、両手を上げて訴えるシルヴィ。

「弟……? そっか、咲花には弟がいるって言ってたっけ……」

「ああ、そうなんだ?」

「んだ! うんと小ちぇくて、耳としっぽがぴょこんって出んだっけよ! もふもふわんこ、めんこいんだ! おれも欲しい!」

 欲しいと言われてすぐにあげられるものではないのだが。

 兄ちゃん、姉ちゃん、苦笑する。

「でも弟が生まれるとは限らないんだぞ?」

「んなのが? 自分で決めらんにの?」

「それは星の意思だから……」

 地球で言えば神様の思し召し、ということになるのか。ともかく、生命の誕生は神秘なのであって、天の、星の授かりものなのだ。人の意思でどうにかなるものではない。

「ふうん。ほんじゃ、いもーとでもいいだ! すずみたいなめんこいいもーとがいいだ! いもーとなの、いもーとなの、しゅじゅきしゃんなのー」

 すずの口癖を真似して言うシルヴィ。

 シンとリィはチラリと視線を合わせた。