シルヴィが故郷での身の安全を保証されたとして、一旦両親の元へ帰ることになった。賑やかな末の妹がいなくなったことで、ちょっと寂しい兄ちゃんと姉ちゃんである。

 しかしシルヴィが帰ってくるまでの間に、しなくてはならないことがある。

 魔力の増強だ。

 シルヴィがいた頃は魔力を確保しなければならないため、召喚の練習が出来なかった。まあ、毎日枯渇するほど吸い取られていたので、その分回復力は劇的に上がったけれども。

 魔力増強と召喚術の訓練をするなら今しかない。目標としては、一人だけでシルヴィに魔力(ごはん)をあげられて、なおかつ一晩で回復させられるようにしたい。それくらいの魔力量と回復力があれば、女王召喚も一人で出来るようになる。

 召喚に関しては、精霊の女王を同時召喚しても倒れないようにする、というのが最終目標ではあるが、そこに到達するまでにはまだまだ時間がかかる。

 今は地球の精霊たちの力を借りて、それを戦闘なり日常生活なりに応用出来るようにするのが第一だ。

 火の精霊サラマンダーの力で、より高熱の炎を作り上げる。

 水の精霊ウンディーネの力で、不純物のない水を精製する。

 風の精霊シルフの力で、大気を動かす。

 土の精霊ノームの力で、地上にある魔力や生物の位置を正確に捉える訓練をする。

 そういう基本的なことから始め、各々の精霊たちとの交流を深めながら、どのくらいの魔力をどのように送り込んだらいいのか、その匙加減を身体に覚えさせる。この辺りは召喚術の師である母から教わり、他の星でも訓練してきたことなのですぐにクリアした。

 それが出来るようになれば少しずつ難易度を上げ、より高度の技術を習得していく。同時に、複数の精霊を同時召喚する訓練も行う。