…まさか。
固まったままの結菜ちゃんの手が、ピクッと動いたのが見えた。
そうだ。そんな声をかけられたら、結菜ちゃんは…!
「……っ、お、おかえり〜!
もー、遅いよー。早く行こう!」
石のようだった結菜ちゃんが、バッと身を翻してすぐに愛菜ちゃんに駆け寄る。
若干その顔は引きつっていたけど、そんなの関係ない。
…だって、本当は笑顔で取り繕う必要なんてないんだもの。
愛菜ちゃんはもう、結菜ちゃんの思いに気付いてる。
それでも結菜ちゃんを手元に置くと決めた。
そして結菜ちゃんも、気付かれたとわかっていてなのか、まだ気付かれていないと自分に信じ込ませているのか…どちらにせよ、愛菜ちゃんの側につくと決めた。
…やられた。
そうだよね。
愛菜ちゃんに聞こえていなかった可能性があるなら、そっちに縋るに決まってる。
こうなったら、もう私にはどうしようもない…!
「うん。早く、陽くんを見つけないとね」
「そうだね、うん!どこ探そうか!?」
…まずい。
愛菜ちゃんのことで必死になっている結菜ちゃんの声は大きい。
このまま2人と一緒にいれば、確実にそう遠くない未来〈あの子〉に追いかけられることになるだろう。
そうしたら…私が身代わりにされる。
きっと、この2人と一緒にいる時に〈あの子〉と出会ってしまったなら、それが私の最期の時になってしまう。



