雪。
それが、黒田くんの妹さんの名前なんだ…。
陽くんと仲良くなったからって…そんなことで雪ちゃんをいじめたの?
そんなの、誰と仲良くしようと本人の勝手じゃない。
嫉妬が醜すぎるよ…!
「陽くんは…何も言わなかったの?」
「言わなかった。私や正秀と違って、愛菜にハブられる心配なんてないのに!なんで黙ってるの!?なんで愛菜の言うこと聞いちゃうの!?意味わかんないよ!」
「………」
「ねえ舞、私どうすればいい!?
本当は嫌だ!雪をいじめていたのも、これから舞を身代わりにするのも!
でも、愛菜がやれって言うの!どうすればいいの!?」
「…結菜ちゃん」
ガッと私の腕を力強く掴んできた結菜ちゃんの手を、やんわり押し返す。
どうすればって言われても、そんなの。
雪ちゃんのことはもう遅いし、私のことも…もう遅いよ、きっと。
「あのね。結菜ちゃん、さっきから声でかいけど。
トイレってすぐ近くにあるんだよ」
「……え」
「多分、全部愛菜ちゃんに聞こえてると思う。
だから、もう遅いよ。愛菜ちゃんが結菜ちゃんの話通りの人なんだとしたら、今から愛菜ちゃん側に戻るのは無理じゃないかなぁ」
「あ…、……っ、うそ…?」
瞳孔が開ききって、絶望しきったような結菜ちゃんの目が。
フラフラと不規則に左右に揺れた。
「ならさ。好きにすればいいんじゃない?」
「好きに…?」
「そう。今更戻っても意味ないなら、やりたくないことはやらないって言えばいいんじゃないの?
まだ意味があるって思うならそのまま従ってればいい。
自分のことは自分で決めなよ。人に従ってばっかりじゃなくてさ」
「…………」
見開かれた目が、私を捉えた。



