「とにかく、2人が無事でよかったよ…。
ずっとここにいたの?」
「うん…あの、名前は知らないんだけどね。
男の人が庇ってくれて…。
俺が引きつけるから、ジッとしてろって」
…悠人さんだ!
あの時、悠人さんの後ろにこの2人もいたんだ。
戻ってきてみて正解だった。
ほら、やっぱり悠人さんたちは悪い人じゃないよ。
悪い人だったら結菜ちゃんたちを庇ったりしないよね?
悠人さんに、2人の様子を見に行ってもらっててよかった…。
「その人は…えっと、さっき私たちの他に3人いるって言ったよね?その中の1人の、悠人さんだよ」
「そうなんだ…。見た目はその…少し怖かったけど、優しい人なんだね」
そう言ってふわっと笑った愛菜ちゃんに安堵する。
愛菜ちゃんは、陽くんみたいに疑ったりしてないみたいだ。
陽くんは、思い出すだけで腹が立ってくるから。
思い出しかけたさっきのやりとりを振り払って、結菜ちゃんに顔を向ける。
「結菜ちゃんは…大丈夫?少し落ち着いた?」
「う、うん……少し。
でも、ごめん、まだ立てそうにないかも…」
「そっか。大丈夫、ゆっくりでいいよ。
音を立てなければ襲われないはずだから」
「ありがとう……」
結菜ちゃんの側に落ちているトンカチを拾い上げて、教室の隅まで持っていく。
こんなの、持たない方がいいよ。
私が放ったトンカチは、工具がたくさん入ったダンボールの中にゴトンと音を立てて沈んでいった。



