「………あ、悪い。…舞は無事でよかったよ」


「…うん」



『舞は』。…やっぱり…見たんだね。



そう思いながらも、それを思い出させたくなくて。口に出すのはやめておいた。



「結菜と愛菜は?見なかったか?」


「見たよ。ついさっきまで一緒に行動してたんだけど…逃げる時にはぐれちゃって」


「…そう、か…。それじゃあ、もしかしたら…」


「…っ、だ、大丈夫!」



顔が曇った陽くんに、安心させたい一心でそう大声で言ってしまってから、ハッと口をつぐむ。



危ない…!


もう〈あの子〉が近くにいないって保証もないのに、私のバカ!



急な私の大声にびっくりした様子の陽くんを目の前に、そっと廊下に耳をすませる。




…よかった…何もいないみたい…。



ふう、と一息ついてから、陽くんに視線を戻す。



「えぇと…ここにはね、私たち以外にも3人来てて…」


「3人?うちの学校のやつか?」


「ううん。隣校の人。
その3人はね、ここを一回クリアしてる人たちなの。
それでさっき逃げる時、悠人さん…その中の1人が注意を引きつけてくれたみたいだったから、きっとみんな生きてると思う…!」


「…………」



私の説明に、陽くんは口をつぐんだまま難しい顔をする。