カタカタと震えだす身体を必死に押さえ付けて外の音を聞いていると、私の隠れている教室の前をダダダダ!とすごいスピードで駆けていく音が聞こえた。



続いて、それを追いかけるようにペタペタペタ!とこれまた信じられない速さで通り過ぎていく足音が聞こえてくる。



…ペタペタ…って…明らかに裸足だよね。


私たちの中に裸足の人がいるとは思えないし…。




ってことは、今通っていったのが〈あの子〉…?



だとしたら、速すぎるよ。


もし私が追いかけられたら…そう足が速いわけでもない私は、為すすべもなく捕まってしまうだろう。



想像にブルっと身体を震わせて、膝を一層強く引き寄せた。


頭に浮かんだ嫌な妄想を、ぶんぶんと首を振って振り払う。



大丈夫…大丈夫。


今の音、先に通っていった足音の方が速かったし。



多分悠人さんだと思うけど…朱里さんも大丈夫って言ってたもの。きっと大丈夫…。



技術室の中も〈あの子〉はいたけど、正秀くんの時みたいな血だまりは見当たらなかったような気がする。




だから、きっと誰も死んでない。



結菜ちゃんも愛菜ちゃんも…無事なはず。




そう自分に必死に言い聞かせて。





静かになった廊下を背に、ギュッと強く目を瞑った。