そっと教室を出て、廊下を少し進む。



すぐに渡り廊下に出るけど、人もいなければ何か痕跡があるわけでもない。


…本当に何もなかったら、ここら辺にいるはずなんだけど。



嫌な予感を感じつつ、ゆっくりと階段を降りた。


…やっぱり、誰もいない。



〈あの子〉に襲われたのかはわからないけど、何かがあったことだけは間違いなさそうだ。



無意識に唇を噛む。



「…教室、覗いていくよ」



ボソッと小さな声を出した芽衣さんに、私と朱里さんはこくりと頷く。



それを見てから芽衣さんは階段に一番近かった教室に近付いて、そっと扉に手をかけた。


第2技術室。


さっき私が、結菜ちゃんと愛菜ちゃんと一緒に覗いた唯一の場所だ。












………あれ?


ちょっと、待って。



『扉に手をかけた』?



…私、覗いた教室の扉は開けっぱなしにしてきたよね?









「っ、芽衣さんそこはっっ……!!!」




マズイ!!と思って声を出した時にはもう遅くて。




芽衣さんが開けた扉の先にいた小さな血まみれの女の子が、ニタリと笑ったのがはっきりと見えてしまった。