「あれ?」
芽衣さんと朱里さんの会話を聞きながら教室を見回していると、廊下側の机の中に何かが入っているのを見つけた。
なんだろう?
近寄って、取り出そうと椅子を引く。
「…あ…その席…」
ポツリと芽衣さんが呟くのが聞こえるのと同時に、私は取り出した紙を見た。
「…ポスター?」
『保健委員からのお願い』という見出しが書かれたそれは、どうやら学校に掲示するポスターらしい。
可愛らしい絵に丁寧な色塗りがされた、この不気味な空間には似合わないポスターだ。
「舞ちゃん!それ、ちょっと貸して!」
「えっ?はい、どうぞ?」
珍しく大きな声で駆け寄ってきた芽衣さんに驚きつつ、素直にポスターを渡す。
芽衣さんはそれを受け取って確認すると、くしゃりと顔を歪めた。
「望絵………」
「…芽衣」
………よく、わからなかったけど。
泣きそうな芽衣さんを見ると、言葉が出なかった。
何か、大切なものだったんだろうか。
ずっと、ここに来てからも冷静に振舞っていた芽衣さんと朱里さんだけど。
もしかしたらこの2人も…それから悠人さんも、私たちがさっき正秀くんを亡くしたように、誰かをここで亡くしているのかもしれない。
だって、何回も『前回』って言葉を聞いた。
『前回』の内容を私は知らないけれど…。
3人からは並大抵じゃない覚悟が見えたから。
私がさっき正秀くんの前でしたように、彼女たちも同じ決意をしたんだろうな…。



