「……………………嘘でしょ?」



ホラー好きの正秀くんのことだ、きっと驚かそうとしているに違いない。



タラリと、額に汗が流れるのを感じた。



階段を降りるのも忘れて、1歩、また1歩と近付く。



人影が、段々はっきりしてくる。



見えてくる。



仰向けに、倒れている。



その表情はまだ見えない。



「ねぇ、面白くないよ……」



そんなの、この状況で笑い飛ばせるほど神経図太くないよ、だから、早く。



進んでいるうちに、血だまりの中に入ってしまった。



何をどうしたらこうなるのかな、血だまりが広すぎるんだよ。



そんなに深い傷、負ってるようには見えないのに。



進むたびに血が跳ねて、私の靴を汚す。



「起きて……よ……」



冗談だよって、起きて、お願い、今すぐに。



もう顔すら、さっき私がいた位置からは見えなかった、もう半分の支離滅裂な身体すらしっかりと認識できるくらい近くに来たよ。



脅かすなら今だよ、ねぇ。