コータローは正式に陸上部に入部して、茶道部を退部した。

惜しまれたらしいけど、茶道部なんてガラじゃなかったからちょうど良かったかも(笑)。

そして、相変わらず忙しいコータローと少しでも一緒に過ごすために、あたしは陸上部のマネージャーになった。


何とでも言っていいよ。


ネガティヴで、肝心な事も言えなかったあたしが、精一杯ポジティブに考えた結果だから。




「もう、あの音聞けなくなっちゃったね。」

「あの音?」

「なんでもない。今日バイト?頑張ってね。」

部活帰り、夕暮れの中を歩く。



シャラ…


聞こえなくても、いつでもあたしを揺らす。

それは、ゆりかごみたい。

優しく、あったかく…ふんわりと柔らかいんだ。





《END》