「お兄ちゃんにパシられて買ったアイス…。」

「え⁈ヤバくない⁈冷凍庫に入れてきてあげるよ!」

雪乃が袋を持って、慌てて部屋を出て行った。

わざとじゃないけど…あのお兄ちゃんは許してくれないだろうな。

ま、いっか。

今日は雪乃と仲直りできたから。


ーーーそれからしばらく雪乃と話をして、家に着いたらお兄ちゃんはカンカンに怒っていた。

謝ったけど怒りはおさまらず。

でも、怒られてるあたしがニコニコ機嫌良くしてるから、最終的には呆れていた。


”あたしは、好きにならないから。”

自分で言った言葉が、心の中でこだまする。

「…。」


あたしは、多分…。

好きなんだろうな…。

あの、ふんわりとした柔らかい笑顔が。


翔矢の事が”好きだった”という過去形になって、思い浮かぶコータローの顔…。

雪乃とは仲直りできたけど…これ以上、友達をなくしたくない。

もう、遅いかもしれないけど…あたしがこの気持ちを出さなければ、ゆうちゃんとも仲直りできるかもしれないーーーあたしは、そんな小さな期待を抱いていた。