一瞬、雨音が消えて、コータローの声しか耳に入らなかったーーー…。

「…。」

不思議な感覚を引きずったまま、駅の前の横断歩道まできたあたし達。

「清田さん。」

コータローが、ゆっくりと口を開いた。

「彼女のコト聞いてきたみたいに、オレの好きな子、聞かないの?」

「え…?」

なんで…そんなコト……。

「聞いたら…教えてくれるの?」

「うん。あ、信号青だよ。」

そう言って、先に歩き出したコータロー。

「…。」

「じゃぁオレ、バイトだから。清田さんは気をつけて。」

「う、うん。」

「あ、ごめん待って。言い忘れてた。ーーー……だから。じゃあね!」


ーーーーーー‼︎‼︎

言うだけ言って、走り去っていったコータロー…。

あたしはーーー動けなかった……。