さかやどり

「君は、打ち上げに行くの?」

部屋へ入る前に私が声をかけると、後輩は振り返った。

もう期待なんてしてはいけないのだと、誰かに頼っても意味がないのだと分かっているけれど、もしも誰か1人でも私の横へ留まってくれたら嬉しいだなんて、ほんの1㎜の希望だけは捨てきることができずにいた。

「今度、2人で呑みに行きましょう」

そう笑った後輩の顔は、やはり1年前の小林に似ていた。