1年の間に頼る相手は何度も変わった。

荻野はそのうち大学へ来なくなり、前のように殴られることはなくなった。1年が経ってようやく、同学年とも話せるようになった。

けれど、あの時誰からも助けてもらえなかったことを思い出すと、彼らに自分の言いたいことなんて何一つ伝えることはできなかった。

「紺野先輩って、全然小林先輩と話しませんでしたね、準備期間」

実行委員の後輩に、文化祭の後片付けをしながら言われた。

「仲悪いって噂だったから、俺ら気ィ遣いっぱなしでしたよ」

口々に不満を言う1年生たちは、今こうして冗談めかしているけれど、昨日まで小林にべったりで、私にはほとんどの生徒が話しかけてこなかった。