数日後に迫った金曜日の呑み会には正直気乗りはしておらず、1人で家に閉じこもっているのも悪くないとは思った。

それでも、あれだけ強引に誘ってもらっているにも関わらず断ってしまうことには抵抗がある。

天野先輩も、いつまでニコニコしているのか分かったものではないのだ。

特に怖いのは、天野先輩なんかではなく、彼女を取り巻いている全校生徒だ。
 
――うちの大学馬鹿だから。皆流されちゃうんだろうな……。
 
呑み会に関して、良い噂なんて聞いたこともなかった。

この大学は数年前に、イッキ呑みの結果急性アルコール中毒で校内から救急車を呼んだことがあるそうだ。

その時、校内で宴会を開いていた生徒は、今の3、4年生だ。

その後は校内での飲酒や後輩への飲酒の強要は禁止されたと聞いているけれど、それでも呑みの席になると羽目を外す生徒が後を絶たないそうだ。

大学名の後に未成年飲酒と入れてネットで検索をすれば、かつての上級生たちの失態が次々と引っかかった。

食堂の二人席に一人で腰を下ろし、私はジッと携帯の画面を眺めていた。

暗転した画面には私のしかめっ面が映っている。

こんな可愛げのない後輩を、どうして先輩方は毎度呼ぼうと思うのだろう。
 
――どうせ気を遣わせるだけなのに。
 
自分がいるだけでもその場の空気が数度冷めるということくらい、18年も生きていればいい加減気付いていた。

私に気付いた途端、皆が話を中断するということも、内心そこまでよくは思えていなかった。