懐かしい、甘い唇。

さらうように、それでいていとおしむように、新太は私にキスをした。

「さよならの、キスだから」

「新太……」

「アンナ、ばいばい」

新太はフワリと私から離れると、ゆっくりと去っていった。

「新太!」

新太は振り向かなかった。

「新太!」

私の声は、空虚に響いた。