抱き寄せて、キスをして《短編》

画の事はまるで分からないけれど、これが普通の画用紙じゃなくてケント紙で、サイズは四つ切りなのは、分かった。

よく、新太の買い物に付き合ってたから。

そしてそれが、鉛筆で描かれたデッサンであることも。

それから、その描かれた人物が私だということも。

ケント紙の中の自分を、私はひたすら見つめた。

何だか、私であって私じゃないみたいだ。

首を傾げて微笑んでいるのは確かに私なのに、その表情は何だか他人に思えた。

私は新太の描いたデッサンを見ながら、いつかのやり取りを思い出していた。

『新太、何でこんなに鉛筆いるのー?めちゃくちゃいっぱいあるじゃん』

『デッサンに使うんだ。色んな濃さの鉛筆があるんだ。ほら見て。ここに6Bから4Hまであるよ』