抱き寄せて、キスをして《短編》

「私、恋人じゃないんです、新兄ちゃんの」

新兄ちゃん?

それって、もしかして。

「加奈ちゃん、とにかく入って」

私は加奈ちゃんを部屋に入れて、リビングのソファへ座らせた。

加奈ちゃんは、泣き止まなかった。

「中山新太は、私のいとこなんです」

私は驚いて眼を見張った。

「加奈ちゃん、新太のイトコなの?!」

加奈ちゃんは肩を震わせて泣いていた。

「じゃあ、どうして恋人だって」

「新兄ちゃんに、頼まれたからです」

え?な……なんで……?

私は訳がわからず、眉を寄せて加奈ちゃんを凝視した。