抱き寄せて、キスをして《短編》

加奈ちゃんはスマホを片手にオフィスを出ていった。

私はジュースをひと口飲んで息をついた。

もう新太との友情も同期という関係も、諦めようと思いながら。

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定時に上がり、私はトボトボと家路についた。

昼間、社食で会った新太の姿が頭から離れない。

……懐かしい。

入社した頃の新太はあんな感じだった。

それが、私とつるむようになった頃から、髪型や服装にあまり気を使わなくなった。

決して素材が悪いわけじゃない。

むしろ新太はイケメンだ。

ただ、飾らないだけ。

そんな新太が、雑誌のモデルに引けを取らない姿で私の前に立っていて。