彼氏が、新太じゃなかった。

動揺する私になどまるで気付かず、加奈ちゃんは、彼氏にキスをされてフワリと微笑んだ。

「アンナ?」

「あ、ごめんなさい!」

私は我に返って三崎課長の整った顔を見た。

「私、なんでもいいですよ」

「じゃあ、これにしよう。時間も待たなくてすみそうだし」

「はい」

いつの間にか、加奈ちゃんの姿は消えていた。

私の動揺は、映画中も収まらなかった。

……まるで意味がわからない。

なんなの?!