抱き寄せて、キスをして《短編》

「新太?」

「アンナってば。なんでキスしたの」

口調は静かだけど、怒ってるのが私には分かる。

「新太?私からキスしたんじゃないよ、されたんだよ」

「関係ない!キスしたのは確かだろ?!」

新太が声を荒げた。

私はビクッとして肩をちぢめた。

混乱して思わず息を飲む。

だって、なんで新太が怒るの?!

なんで怒られてんの、私。

「なに怒ってんの」

驚きのせいか声が掠れたけど、そんなのどうでもいいといったように、新太は私を引き寄せて至近距離から睨んだ。