金曜日は残業手当がつかないため、私と三崎課長以外誰もいなかった。

「間抜けな声を出すな」

いやだって、正気か、この人。

「二人で、ですか」

私がそう言うと、三崎課長はスッと立ち上がり私を真っ直ぐ見つめた。

「嫌か?俺と二人だけは」

……それはこっちの台詞だよ。

三崎課長……、三崎翔矢は、私よりも7歳上の32歳。

仕事は出来るし、スラリとした長身と涼やかなイケメンのせいで、社内の女性から圧倒的な人気がある。

けれど、何故か『俺に寄ってくるなオーラ』があからさまに出ているものだから、皆、指をくわえて見ている感が否めない。

そんなイケメンが、私と二人で飯?!