「俺、恋人が出来たんだよ」

コイビトガデキタンダヨ

恋人。

恋人って……誰かの作品のタイトルじゃなくて?

「こ、恋人?」

「そう、恋人」

新太の眼鏡越しの瞳は、澄んでいて綺麗だった。

「そ、そうなんだ」

私は何か返事を返さなきゃと思い、咄嗟にそう言った。

「うん」

お互いに見つめ合い、黙り込んだ。

けれど二人の間に強い風が吹き、私はその冷たさに我に返った。