「どうした?そういや、まだ話、きいてないけど」

私がそう言って新太を見上げると、彼は俯いてジーンズのポケットに手を入れた。

もう秋を知らせる風が、新太の黒髪をさらりと揺らす。

「新太、どうしたのよ?変だよ?心配になるじゃん」

私がそう言って新太の真正面に立つと、新太は少しだけ顔を上げた。

「アンナ」

「ん?」

「俺、恋人が出来たんだ」

「へっ?!」

な、何て言った?!今!!

「も、もっかい、言って」

新太は、真っ直ぐに私を見て、繰り返した。