「やだなー、そうなると」

「新太は和食大好きだもんね。刺身や納豆、うどんが手軽に食べれない国はキツいか」

「そー。英語、忘れたって言うわ」

「バカな断り方だなー」

「もっと有効なやつ、アンナが考えといて」

私達は他愛も無い会話をしながら焼き鳥を食べ、ビールを飲んだ。

店を出て線路沿いの通りを並んで歩き、ひとつ目の信号を南に入ったところで、新太が急に立ち止まった。

私はバッグのデザインの話をしていたけれど、新太のいつもと違う様子に口をつぐんだ。

「アンナ」

「ん?」

外灯がやけに明るくて、均整のとれた新太の体を柔らかく包んでいる。