私がこう言うと、新太はポカンと開いた口をゆっくり閉めて真っ直ぐに私をみつめた。

「⚪⚪⚪⚪」

新太の口が動いたけど、列車がけたたましく通過してまたしても私の耳には届かなかった。

「なに?!聞こえなかった」

「別に、大した事じゃないよ」

「じゃあ、帰ろっか」

「送るよ」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


私は三年前と今の新太を比べながら、眉を寄せた。

「普通はさー、段々かっこよくなるもんじゃない?確か入社したての頃は眼鏡じゃなかったよね?」

新太はチラッと眼鏡越しに私を見て、再び串に手を伸ばした。