抱き寄せて、キスをして《短編》

「新婚旅行……?」

「結婚しよ?」

けっこんしよ。

それって。それって。

グニャグニャに歪んだ新太の照れた瞳が、眼に飛び込む。

「アンナ、俺のお嫁さんになって」

新太の大きな指が、私の涙を優しく拭った。

ああ。

同期で友達で、それ以上の関係だったのに、恋愛対象外とか言って。

「遠回りはしたけど、二人にとっては必要な時間だったのかも」

うん、うん。

「新太、私を新太のお嫁さんにしてくれるの?」

新太が眉を寄せてギュッと眼を閉じた。

「うん」

「じゃあ、新婚旅行、パリでもいいよ。
ルーブル美術館で立ったまま寝てたら、起こして」

「キスで起こすから」

もう、私達は正真正銘の恋人同士だ。

そう、結婚しても。

だって永遠に、お互いに恋してるから。



~おわり~