スウェルがリビングで待っていると、ケーキとお茶の用意をしてマリカが入ってきた。


「ほぉ、これはうまそうだな。
フルーツまで添えてくれたのかい?」


「はい、さっき台所でお茶をいれていたら、メイド頭のルーナさんが飾ってお出ししなさいって。」


「そうか、ルーナとはうまくやっていけそうかい?」


「はい。ルーナさんは私の亡くなったおばあちゃんみたいで・・・あっ、おばあちゃんよりずっと若いですけど。」


「ははは。おばあちゃんとはルーナには言わないよ。
彼女はね、俺が小さい頃から仕えてくれてるんだ。
もともと夫が病死して、その後息子も戦争で亡くされてね・・・俺は息子のかわりなのかもな。」


「リオレバの人も戦争の被害を受けているんですね。
そのうえに、先祖代々の土地も・・・もう・・・。」


「焼け野原だ・・・。城も邸も民家も森も木々も草も燃えてしまった。
そして、近い将来、またあいつらがここにもやってくるだろう。

ここにやってきたら、俺は、皆を守るためにあいつらと戦わねばならない。
しかしなぁ・・・力のある仲間を募りたいところだ。
俺ひとりでは、とても領民を守ることはできないし。」



「でも、スウェルはリオレバの騎士の中でも一番強いのでしょう?」


「一番ではないよ。なんていうか・・・俺のは人間相手のかけひきみたいなもんだな。
剣の使い手としては、ダメダメだな。
うちのカナビスの方が剣は使うのがうまい。
それに彼の策は優秀だから、我が軍が総合的に強かったというべきだろうな。

剣だけとってみると、テューラ・レオン・リオレバ王子とナサレ・ルオ・リオレバ王子が最高だろうな。
そのうえ、2人は攻撃魔法も加える。」


「すごい・・・そんな方々がいれば、スウェルは心配しなくてもいいのではないのですか?」


「いや、敵を見くびってはいけない。
くちばしをもった怪物は問答無用で火を吐いてくるし、力もひとりの人間の力では倒せない。
必ずチームで協力して、ある程度距離をとりながら倒さないと、接近すると命取りだ。

だから、傷を負ったらすぐに手当も必要になる。
なるべく早く回復できるようにするサポートも必要だな。」


「あ・・・それで・・・私は。」


「あっ、わかっちゃった?まあいずれ、君にも説明しなければなぁって思ってたから、もうわかってくれたのなら都合がいい。
そういうわけだから、精進してくれ。
できれば、薬草や薬の技術は俺と、薬師連中にも教授してほしい。」


「そういうことですか・・・そうですね。
いがみあっていても、怪物につぶされたら何をやっているのやらわからないんですものね。
じゃ、私ができることはお教えして、私の剣術にも協力してください。」


「ありがとう。期待しているよ。」


「用がないなら、私、薬草取りと料理の仕込みがありますので、失礼します。」


「あ、マリカ・・・おい・・・。(なんかまた怒ったのか?)」