マリカが帰ってきて着替えをしようとしていると、オーレアがマリカの部屋にノックもせずに入ってきた。


「きゃぁああ!」


「すまない・・・まだ着替えてないようだな。
ちょっと連絡だけしようと思ってな。」


「れ、連絡ですか?」


「君がスウェルのところにいっている間に、ハリッシュから連絡があって5分後には来るそうだ。
あ、早く着替えをしなさい。
じゃ、要件はあとで・・・着替えたらリビングまできてくれ。」


「は、はい。」



マリカが慌てて着替えてリビングへといくと、もうハリッシュはお茶を飲みながらくつろいでいた。


「慌てさせてすまなかったな。」


「久しぶり、マリカ。魔法の教え方が悪くてほんとにごめん。
まさか、死者にひっぱられるなんて俺はわかってなくて・・・。
オーレンがいなかったらと思ったら震えが止まらないよ。」


「あっ、もういいのよ。無事だったんだし・・・おかげでオーレアのことも王宮の方々のことも王立病院の方々も知ることができてよかったと思うくらいよ。」



「そういってもらえると、俺も気が楽になるけど・・・あっ、そうそう俺はオーレンの下で魔法を学びなおすことにしたんだ。
天才とまではいかないだろうけど、俺だって魔法についてはうるさい家系で育ったんだから、知らないことやひとりで試すのにためらわれた魔法をどんどんやってみようと思うんだ。

それがこの国の未来のためになるなら、がんばらないとなっ!」


「すごい!ハリィの夢なのね。
戦闘になるのは嫌だけど、相手が化け物だったらこっちの都合なんて関係ないものね。
早く、打てる限りの手は打っておいて損はないと思うわ。」


「ところで、マリカ・・・朝はどうしてもスウェルと剣の練習をしなければ嫌なのかい?」


「そ、それは・・・。とがめられることなんですか?」


「いや、食後の運動程度の時間なら個人の自由なんだが・・・君の場合、剣は実益になっていないと思うし、付き合っているスウェルだって稽古はひとりの方が早く仕事にかかれると思ってね。」



「そうなのかもしれないですけど・・・私は小さいころから剣の稽古から朝は始まっていたんです。
騎士と剣をまじえると、その日の魂が呼び起こされるような・・・本当の自分が今日も出せるんだって気持ちになるんです。

オーレアには申し訳ないですけど、魔法で操っただけの剣と戦っても私の魂は充実感は得られない・・・。
ごめんなさい・・・王宮では薬師の仕事以外に、メイドの仕事もしなきゃいけないことが多くて、私それはすごく苦手分野で、ストレスがたまってしまようなんです。
だから・・・朝の練習時間はつぶさないで!お願いです。

スウェルは邪魔じゃないって言ってくれています。
だから・・・だから・・・!」



「剣の稽古をしてはいけないとは言わないよ。
ただ、スウェルとはまだ恋人にはならないでほしい。」


「こっ!恋人ですって・・・!!」