守られるのは卒業よ!

そして、15分たって、マリカの治療は終わった。
さすがに足元にふらつきを感じて、倒れそうになるマリカをスウェルが支え、ソファに座らせた。


「ごめんなさい・・・スウェル。
疲れちゃって。」


「お疲れ!で、オーレンの具合はどんな感じ?」


「葉が冷たくなったら、静かに破いて開いてみましょう。」


「ありがとう。もう、痛みはないよ。
傷口はまだ見てないけど、ツッパリ感もないように思う。」



それから葉がもっていた熱が冷め、傷の部分をみてみると、少しくすんだような痣がうっすらとあるものの、皮膚のひきつれや腕を動かすために支障があったなど、嘘だったように傷口がきれいになっていた。


「自由に動く!僕の左腕がもとのように自由に動く!!
やった、ありがとう。マリカ・・・すごいよ。
これは、国家にも重要な利益となる。

マリカ・・・!?ふふっ、すまない。
かわいい寝顔で祝福してくれるとはね。」


オーレアは魔法でマリカを部屋へ移し、ベッドでゆっくりと眠らせた。


「ありがとう、スウェル、カナビス。
これから、ご近所さんになるがよろしくな。」


「いや、俺たちもまさか天才魔導士オーレン・レイ・オーナ大臣とご近所になるとは・・・びっくりさ。」


「スウェルは昔、魔法を勉強してただろう?」


「ええ、俺が3才から20才までの間、教えてくださいました。
あなたは今の姿と変わらずね・・・。」


「スウェル・・・マリカにはそのことはもう少しだけ黙っていてくれないかな。」


「何が狙いなんです?マリカに愛を囁き、何をたくらんでいるんです?」


「たくらむ?ひどいなぁ。
僕は彼女が好きですよ。
能力も、性格も、もちろん容姿もね。
スウェル・・・明日、彼女が病院で仕事をしている間、時間はとれますか?」


「ええ。何でしょう?」


「2人で話がしたいのです。
最初は、君にここにもどってもらって、僕たちは王宮にいるつもりでした。
でも・・・どうやら、君じゃなければだめみたいなので。」


「だめみたい?どういうことなんだ!」


「ま、それは明日・・・ね。」



マリカが気が付いたのは翌朝のことだった。

マリカは剣の稽古ができなかったと悔やんだが、オーレアは朝からご馳走を並べて、マリカにお礼をのべた。


「ほんとにありがとう。
手と腕が使えるようになって、助かるよ。

やけどした当時は、このくらい悔いはないと思っていたんだ。
けれど、化け物たちが襲ってきて、この国に逃げ込んで・・・僕はやりたいことが半分もできなかったことが悔しかった。

何とかスウェルたち・・・僕の教え子たちががんばってくれたけれど、肝心の僕が小さな魔法しか使えないなんてどんなに悔しかったか。」


「小さな・・・って、オーレアはすごい魔法をいっぱい使うってみんな言ってますけど・・・」


「対化け物たちを封じる魔法は両手使えなきゃできないんだよ。
そのために、リオレバもシューカウリもたくさんの犠牲者を出してしまった。
僕の責任は重いよ。」


「待って、オーレアはべつにひとりひとりの人生を作ってる神じゃないわ。
不運だったかもしれないけど、これは仕方のない現実だった。オーレアのせいじゃない!」