オーレアはハリィのように話すときに、冗談めかしていうこともあるが、真剣な話をするときは目がとても誠実で真面目な顔をする。

そう、マリカは見つめていて思った。

そして、必死で自分を守ろうと決意していることも・・・感じずにはいられない。


「でもね、ここにいて軟禁生活を送るのは嫌よ。
朝は剣の稽古したいし、回復魔法中心でもいいから魔法も習いたいの。」


「わかった。
じゃ、僕がそのすべてを請け負おう。
それならどうかな?」


「す、すごい・・・いいの?」


「いいよ。大歓迎さ。
スウェルにも連絡しておいた。
心配はいらないよ。

ただ・・・彼は、君を僕がこきつかうのではないかと思っているようだけどね。」



「もしかして、師匠と弟子の間に私が・・・ヒビを入れちゃってるの?」



「ヒビではないね。
恋のライバルってとこさ。

これだけは負けられないけどね。」


「ライバルって・・・何を言っているの?
スウェルは領主様であなたは魔法の指南役なのでしょう?

でも、私はむやみに魔法を使ってはいけないっていうこと以外は納得できてないの。
つまり、あなたと2人きりで、しかも王宮の中で住むなんてこと・・・できるわけないじゃない!
帰して!私をうちに帰らせてよ。」



マリカがオーレアに帰宅したいことを懇願していると、いつのまにか知らない女性が笑いながら部屋の入り口に立っていた。


「帰っちゃだめよ。
安心して。あなたは私のところで働いてもらうから。」



「えっ?あなたは・・・。」


「アリシュレア様!!マリカ、この方は皇太子テューラ・レオン・リオレバ様の奥様。
つまり、皇太子妃様だ。」



「えぇええええ!!も、申し訳ございませんでした。
口の利き方も知らないバカで、すみません・・・。」



「ぷっ!あはははは。
そうね、敬語の練習は必要かもね。
だけど、正直でまっすぐ・・・元気で明るくて、私は気に入ってよ。
それに、あなたは薬草の知識と回復魔法を習得しているときいたわ。

じつはね、私も魔導士なのよ。
いえ、永遠の魔法少女といってほしいわね。」


「ま、魔法少女?」


「あ、バカにしたわね。25歳にもなって少女じゃないとか思ったかしら?」


「いえ、そんなこと、滅相もない。
ただ・・・皇太子妃なのにかわいいと思って・・・あっ、失礼しました。」


「かわいい?うふふ。
リオレバの王家は代々、魔導士なの。
私たちもこの国を滅ぼして入ってくるのに魔法で戦ったわ。

でも本位ではなかった。
勝ち目がない相手に魔法を使いたくなかった。
どうしても話し合いで・・・相談にのっていただければいいと思っていたの。
でも・・・シューカウリの王室も政治家も私たちを化け物扱いしたわ。

ほんとに戦わなければならない相手は、もうそこまで迫っているというのに。」