それから4日ほどして、マリカのいる鍛冶屋からすぐ近くの市場から3人の若い妻たちがチンピラ風の男たちに連れて行かれるところをマリカは見てしまった。


いつもならこういった市場での事件は、鍛冶屋での父親のライダルに頼んでやっつけてもらうのだが、今日は王族経由で新しい領主へのお祝いの品という美しい短剣をライダルは領主の邸となるところへ届けにいっていた。


「どうしよう・・・このままじゃ、奥さんたちが・・・。
よぉーし、これは力試しよ。行かなきゃ!」



「ここじゃ助けてくれるようなヤツはいないだろう。
田舎の市場じゃ、野菜は新鮮でも活きのいい男はいないだろうからな。」


「その女性を離しなさい!!」


「なんだぁ?おめえは・・・。」


「奥さんたちを解放して逃げかえればよし、そうでなければ・・・斬るわ!」


「あはははは。女のクセに斬るだってさ。
よし、やってみな。」



「たぁーーー!」


「うぉっ!こいつ、意外につえぇ!」


「くそっ・・・なんてヤツだ・・・そうだこうなったら。」


「それ以上暴れたら、この女がどうなってもいいのかぁ?」


「あっ、人質にとられた・・・。」


「ひひひひ、よく見れば、この町一番のベッピンさんじゃないか。
こいつはいいのが手に入ったなぁ。」


「くっ・・・私のことを信用してくれなかったんだ。
奥さんたちは・・・私の後ろに来るのが当たり前だと思ってた・・・なんて私は・・・バカなんだろう。」


マリカはがっくりとうなだれ剣を落としそうになった瞬間、男たちは何かを叫んで、とらえられた妻たちは貴族風の男の馬車に乗り込んでいた。


「人質はもう大丈夫だ!!」


若い男のその声を聞いた途端、マリカは剣をしっかり握りなおして、チンピラたちに斬りかかる。


そして、馬車にいた男にチンピラ3人は取り押さえられ、警察へと連れていかれるようだった。


「ふぅ・・・助かった・・・。」とマリカが思った瞬間、何者かがマリカの喉元に剣を突きつけている。


「あっ!」

咄嗟にマリカは後ろに下がり、剣を突きつけた男が驚いた表情をした。


「君は・・・今、剣の動きを止めたのか・・・。」


マリカはそういった若い男の正面に立ち、剣を構えた。

「お前の狙いは何?
奥さんたちを助けてくれたと思ったのに、私の敵なの?」


「さぁどっちだろうな。
剣は口ほどにものを言うともいうぜ。
剣を交えてくれないかな。」


(こいつ、何者?それに余裕ありすぎでしょ・・・もしかして私はこの男に殺されるかもしれない。
でも、ここでどうすればいいの・・・。がんばるしかないわ。)


「来い!」


「いい目だ。じゃ、行くよ。」