2階の窓から部屋の中をうかがっていた男は、木の上から地面へと飛び降りていた。


するとスウェルは背中を向けた男をひっぱるように右手をひいた。


「おわっ!!!これは・・・魔法か。
くそっ、このくらい!」


「抵抗するならおまえの手足はもぎ取られると思え!」


スウェルがそう叫ぶと、男はフフッと小さな声で笑った。
そして、右手でパチンを指を鳴らす。

すると、男の頭の上からたくさんの牧草が降ってきてあっという間に男の姿を隠してしまった。


今度はスウェルの方が叫び声をあげた。


「しまった!あいつも魔法の心得があるのか。」


次の瞬間、マリカも牧草だらけになってすぐに消えてしまった。


「マリカ!!」


「くそっ!俺たちがついていながら・・・やられた。」


「落ち込んではいられない。
マリカの行方を捜さないと!」


「でも手がかりはあるのか?」


「ないわけじゃない。
マリカはナギンの娘だということはわかっているんだからな。」


「どういうことだ?」


「師匠のオーレンがやってたんだが、ナギンの行方を捜すのに、こうやって木の葉を上に飛ばしてみるのさ。
すると・・・。」



スウェルが木の葉を上に投げ上げると、緩やかな風で木の葉が飛び始めたのだった。


「なんだ、こりゃ?」


「ナギンも薬草をよく使っていた。そしてマリカもな。
薬効果のある草は植物を呼ぶ。
そして、ある風に反応するんだ。
風については企業秘密だがな。」


「なっ・・・なんだ企業秘密って。」


「まぁ魔導士の秘密の風くらいに思っててくれればいいよ。
うーーーん・・・これはかなり遠くにいったみたいだな。
相手は魔法を専門に扱う人物みたいだな。
行方が知れてもどうやってマリカを助け出せばいいんだろう・・・。」


スウェルは頭を抱え込んでいた。

それを見ていたカナビスもため息をつくだけだった。