守られるのは卒業よ!

そのとき、食事の用意ができたとスウェルに使用人から声がかかったため、マリカはそれに乗じて部屋にもどっていった。


(私・・・スウェルには素直になれない。
領主様がたくさん譲歩してくれてるのはわかってるし、ありがたいと思わなければならないのに、どうしていいのかわからなくなっちゃう。
できるならもう、会いたくない。)

「私どんどんみっともなくなる・・・。」


そう部屋でつぶやいていると、後ろでクスクスと笑い声がした。

あわててマリカが振り返ると、ドアの前にカナビスが笑顔で立っていた。


「いつの間にここへ・・・。うそぉ。」


「そうだね。私の得意技を教えてあげよう。
私はこういういつ、どういうふうにここに来たのかもわからないほどに、やってきてしまう。
隠密行動は得意中の得意なのさ。」


「魔法なの?」


「よくわからないな。気がつけば、できちゃったりして・・・。
で、マリカはスウェルとどう接していいのか困っている。」


「えっ?」


「なんでお見通しなの?って顔をしてるね。
私のもう1つの得意技・・・相手の気持ちがけっこうわかる方だったりするんだよねぇ。

異常に緊張する自分に嫌気がさしてきて、それでいて緊張しまくるのがわかっていて、会いたいと思ってしまったり。
いや、まだそこまではいかないかな。
ただ、眺められればいいのに・・・くらいかな。」


「ぎくっ!」


「そう、それを恋する乙女心というのだった。」


「えっ・・・そ、そうなの。」


「あははは、剣の練習にのめりこんでいたお嬢様には恋は未知なるものだったんだねぇ。
ひたすら敵にあらがうために、剣を習って逃げるところを探して・・・ほんとに時間の無駄を強いられてきたわけだ。」


「う、うるさいわよ。さっきからきいてれば、勝手に私の考えてるみたいな口ぶりしちゃってさ。」


「おや、というと、私が言ったことはお門違いもいいとこだと思ってるのかな?
じゃ、私とつきあってみようか・・・ん?」



「どうしてあなたと付き合わなければならないの!」


「スウェルのことは気にならないというのなら、スウェルと剣の稽古をして、自由時間になったら私とデートをしてもいいわけだろう?
私は君がとても気に入っているしね。」


「で、でも、あなたと私は年が離れてるし。」


「19歳と30歳か・・・半分じゃないから大丈夫さ。
それに君にいろんなことを教えてあげられる。」


「た、たとえば?」


「料理とか、洗濯、掃除、子守りの仕方、もちろん剣術、馬術なんかもね。」


「すごい・・・戦う他に家事がすべてできちゃうなんて。」