おばさんに通されたのは、サスペンスドラマでよく見るような面会の部屋。


部屋の中央は小さな穴の空いたプラスチックで仕切られていて、その穴から話せるようになっている。



蓮央と並んで座り、しばらく待っていると、向こう側のドアが静かに開いた。



現れたのは...髪が黒くなった、翠斗。


変わったのは髪色だけで、それ以外は一年前と何も変わっていない。


体型も、雰囲気も。


全てがあのときのまま。



彼は私たちを見ると、口の端で笑った。




「...よう」


「一年ぶりだな、川瀬」




何も言えない私に代わり、蓮央が口を開いた。




「調子はどうだ?」


「まぁまぁだよ。お前は元気そうだな」


「こう見えても、つい最近まですげー大変だったんだよ」


「へぇ」




この二人、いつの間にこんなに仲良くなったの?


あたし、何も言えてないんだけど...。


あの頃の記憶を掘り返すのが怖くて、思い出したくなくて、何も言えないよ...。