何事もなかったかのように家に帰り着く。 「おかえり。学校はどうだったの?」 帰る度にお母さんから聞かれるこの質問が私は大嫌いだった。 「別に普通だよ? あ、今日ねー、茜と七海と遊んだ!! あとね、昼休みは皆でバレーボールしたしー…。」 昼休みにバレーボールなんか、してない。 クラスの子が皆を誘ってやっていただけ。 私は誘われもしなかった。 ただ、窓からその光景を眺めていただけだった。 そんな私の嘘をお母さんはいつも楽しそうに、嬉しそうに聞いてくれる。 …ごめんね、お母さん。