図書室に逃げ込んで、私は涙をポロポロとこぼした。


悲劇のヒロインぶってバカみたい。


元々、神城君に釣り合わないっていう事は自覚していたし、今さら傷つく事なんかない。


悔しいのは、私が彼を好きになってしまった事。


何でもできて、みんなの人気者で、人間らしくないから苦手。


そう思って、ずっと関わる事を避けて来た。


だけど、実際は全然違った。


私は、神城君の事を何も知らなかった。


見えている部分だけで判断して、勝手に苦手意識を持って……。


本当は誰よりも努力家で、人間らしくて。


イジワルなくせに繋いだ手のぬくもりは、悔しいくらいにあたたかかった。



「……はあ」



誰もいない図書室のカウンターに突っ伏して、私は深いため息をついた。