学校を出て数分歩き、あたしの自宅前に到着する。

学校からは、セイくんの家よりも、あたしの家の方が近い。






「ただいまぁ」




あたしはセイくんの手を握り、引くようにして家の中に入った。

…勘違いかもしれないけど、セイくんが不安がっているから。

彼女であるあたしが、支えてあげないと。





「お帰りなさい、愛ちゃん。
…あら、桐生くん。昨日ぶりね」




玄関に出てきてくれた、ママ。

その笑顔は、どこか驚いているように見えた。





「ママ?
何かあったの?」


「何もないわよ?」


「何でそんなに驚いているの?」


「……ふふ。
愛ちゃんに隠し事は通じないわね。

愛ちゃんは昔から、顔色で感情がわかっちゃう子だから。

桐生くん、昨日家に来たでしょう?
それなのに、また来てくれたから。

驚くのも無理はないでしょう?
愛ちゃんから何も言われていないんだから」


「……そっか」






ママ…何か、隠してる?

セイくんと星太郎おじちゃんの関係、知っている?

その疑問が、あたしは消えなかった。