そして、放課後を告げるチャイムが鳴り響く時間になった。

あたしたちは並んで寝転んでいたけど、揃って上体だけ起こした。




「じゃあ行こうか」


「……はい」





そう答えるセイくんの瞳は、どこか虚ろに見えた。

あの哀しみと寂しさが混じった不思議な瞳に、不安が入り混じる。

不安が今まで混じったことなんてなかったのに。

…本当、何があるんだろう?






「セイくん、大丈夫?」


「……何がですか?」


「ごめんね、無理矢理だったかな?」


「…自分で行くと決めたのです。
今更変えることなんて、出来ませんよ」





ふ、と息を漏らしたセイくんは、立ち上がった。





「行きます、か」


「……うん」








行かせなければ良かった。

―――そう後悔したのは、それから間もない頃だった。