よくわからない、と首を傾げながら僕は校内を歩き回ります。
誰もいない校内。
それもそのはずでしょう。
現在の時刻、真面目な生徒は授業を受けていますから。
僕と―――どういうわけかあのアホは、
授業を受けていません。
アホが授業を受けない理由は知りませんけど、
僕が受けない理由なら知っています。
僕ですから。
ただ面倒なだけなんです。
ああやって多くの生徒が集まった教室で、
幼稚な授業を受けるのが。
アホの隣にいるのも空気が不味くなるので嫌ですけど。
教室にいるのも空気が不味くて、
1時間ほどの授業になんて耐えられません。
面倒―――その理由だけで僕はこうして
校内を散歩しています。
途中で校内を掃除するオバサンだのに出会いますが。
決して文句は言われません。
「早く授業に戻りな」―――それだけ言われます。
どうやら掃除のオバサンたちは僕を
保健室から帰る途中だと思われているようですね。
騙しているつもりなど決してないのですが、
あちらは簡単に騙されてしまうのですね。
「王子くん天才だもんね。
サボっても何も文句は言われないね」
「……は?」
何故アホが隣に立っているのでしょうか?
先ほど別れたはずなのですが。
それも一生。
それに何故
僕の思っていることをピタリと当ててしまうのでしょうか?


