「溜息つくと幸せ逃げるって聞かない?

あと、
危険な真似しちゃ駄目だよ…王子くん」





僕は自分より背の低い彼女を見降ろします。





「……何故…ここに?」


「エヘヘ、来ちゃった」


「どうして……」


「…謝りたかったから、かな」




いつもヘラヘラと笑っているくせに。

急に真面目な顔になりました。

…こんな真面目な顔、彼女もするんですね…?





「ごめんね。
王子くんの名前知らないで。

でも王子くん、
1度もあたしに名乗ってくれなかったから…。

あたしと王子くんってサボリ魔だから、
教室になんて滅多に行かないし…。

聞く機会、逃がしちゃったんだ…あたし」





肩を落とす彼女―――前園さん。






…確かに、

言っていない僕も僕ですね。