夏彩憂歌

もう二度と離しちゃダメだ。

絶対に離さない。

一生、離してやるもんか。



細い腕を引っ張って、彼女を抱き寄せた。

懐かしい彼女の香りが鼻をくすぐる。

甘くて優しい香り。



何から伝えていいのか分からなかった。

胸を占めてる想いはたった一つ。


「愛してる」


彼女は目を閉じて俺の気持ちを聴いていた。


「……あたしも」

夢にまで見たその言葉が、今、手の中にある。