フェイレイは剣士養成学校へ入学することが決まった。

 あの大騒ぎの後、メイサが簡単な召喚魔法を教えてみたのだが、うんともすんとも言わなかったのだ。

 フェイレイはかつてない魔力と資質の持ち主だ。

 諦めきれないメイサを始めとする精霊士たちが、コツを教えたり普段は脳内に留めて置く魔法陣を直接地面に描き、そこに魔力が流れていく様を見せながら講義し、補助をしながら召喚させてみたのだが、喚んだ精霊に魔力を受け渡す段階になると、そこでフェイレイからの魔力供給がプツリと切れてしまう。

 そうすると精霊をここに留めて置く事も、彼女たちの力をこの世界に顕すことも出来ないので、『召喚魔法』を使うことが出来ない、ということになる。

 結果、精霊士及び魔銃士としての適正なし、と判断された。

 召喚が出来ないとなると、自分で身体強化をすることが出来なくなり、剣士、拳闘士の道も険しいものとなる。

 しかし、ギルドにはランスを始め、精霊の力なしで魔族と戦える身体能力を持つ者も幾人かいる。

 そういった者たちは自分の魔力を体内に巡らせることで、一時的に身体能力を上げている。精霊たちの力に比べれば微々たるものだが、それでもランスたちは魔族と対等に渡り合えている。すべては努力次第、ということだ。

 フェイレイは優秀な人材であることは確かなので、このままギルド所属にするか、または国防軍へ推薦するかは後々の成長具合で判断されることになった。


「私は諦めませんよ~、いつか絶対、花開くときがきますから、剣士としての修練を積みつつ、召喚の練習もしていてくださいね~!」

「召喚が難しかったら魔銃士という選択も残っているからなぁ~!」

 精霊士、魔銃士の教官たちは泣く泣くフェイレイを見送った。