風呂から上がったリディルは、フェイレイに連れられて自室へと上がっていった。これから二人で話し合うのだろう。それを見送り、アリアは深い溜息をつきながらランスに寄りかかった。

「……疲れた」

「はは、お疲れ様」

 ランスは優しい笑みでアリアを包み込んだ。

「リディルを愛している君には辛い役割だったね」

「……辛かった!」

 アリアはランスの背中に手を回し、ぎゅっとしがみ付く。

「心の傷を抉るようなことを言った。……あの子も辛かったと思う。私が傷つけた」

「フェイがフォローしてくれるよ。フェイはちゃんと解っているからね」

「息子に尻拭いをさせるのか……」

「フォローし合うのが家族だからね。それに、今のリディルの傍にいるのはフェイが一番適任だと思うし。……駄目だったらまた話し合えばいいんだから。大丈夫だよ、君も、今は休んで」

 湿った赤い髪を梳いてやると、アリアは無言で頷いた。

 
 



 翌日、フェイレイとリディルは手を繋いで一緒に起きてきて、フェイレイがギルドに行くこと、リディルはここに残ることをそれぞれ報告し合った。

 アリアとランスは子どもたちの決断に涙を堪え、そして強く抱きしめた。