アリアとランスは話し合いの結果、眠り姫をアストラ村のグリフィノー家で育てることにした。
王都やギルドの街の方が最新の医療施設があるし、色々店も揃っていて便利もいい。何より治安がいい。
しかしそれらを差し引いても、眠り姫の心の病を治すには、田舎の自然豊かな土地で暮らすのが良いのではないか、という結論に至ったのだ。
彼女の故郷であるコスティリアも、緑豊かな穀倉地帯らしい。ならば同じように農業の盛んなアストラにいれば、記憶が戻らずとも心は安らぐのではないだろうか。
「色々揃えねばならんな」
何しろグリフィノー家には男の子しかいない。女の子用の衣服や小物、部屋に置くベッドや机、食器、その他生活に必要なものを色々と揃えなければならなかった。
アリアとランスは品物が豊富な王都フォルセリアで買い物をすることにした。そのついでに役場へ行き、自分たちの娘としての手続きをする予定だ。
眠り姫の名前は夫婦で話し合い、決めてある。
本名のリディアーナ=ルーサからとって『リディル』だ。
「どんな服が好きだろう。こんな感じか?」
「ああ、動きやすそうでいいね。何を着ても似合いそうだけど……俺としては、こういうふわっとした感じの、女の子らしい服がいいかと思うんだけど……」
「ああ、私もそう思う。とすると、これと、これと、それも」
かわいらしいワンピースを中心に、アリアは次々と手に取ったものをランスに放り投げる。
「お客様、こちらのワンピースと揃いのリボンもございますが」
「それももらおう」
「ありがとうございます! では、こちらの靴などもご一緒に……」
「それもだ!」
「ありがとうございます!」
傍らで夫婦を見守る店員が、気前のいい上客に嬉しそうに頭を下げる。
「あっ、ランス! このシニヨンキャップで私とお揃いの髪型にしてやってはどうだろう!」
「ああ、親子っぽくていいね」
「だろう! いいよな! いいな、娘! かわいい娘!」
「いいよね、かわいい娘」
夫婦はかわいい娘が出来たことに浮き足立っていた。まるで年頃の娘のようなはしゃぎぶりで、眠り姫のために物を揃えていく。
何しろ『娘』だ。息子とはまた違う、親としての楽しみが増えた。
王都やギルドの街の方が最新の医療施設があるし、色々店も揃っていて便利もいい。何より治安がいい。
しかしそれらを差し引いても、眠り姫の心の病を治すには、田舎の自然豊かな土地で暮らすのが良いのではないか、という結論に至ったのだ。
彼女の故郷であるコスティリアも、緑豊かな穀倉地帯らしい。ならば同じように農業の盛んなアストラにいれば、記憶が戻らずとも心は安らぐのではないだろうか。
「色々揃えねばならんな」
何しろグリフィノー家には男の子しかいない。女の子用の衣服や小物、部屋に置くベッドや机、食器、その他生活に必要なものを色々と揃えなければならなかった。
アリアとランスは品物が豊富な王都フォルセリアで買い物をすることにした。そのついでに役場へ行き、自分たちの娘としての手続きをする予定だ。
眠り姫の名前は夫婦で話し合い、決めてある。
本名のリディアーナ=ルーサからとって『リディル』だ。
「どんな服が好きだろう。こんな感じか?」
「ああ、動きやすそうでいいね。何を着ても似合いそうだけど……俺としては、こういうふわっとした感じの、女の子らしい服がいいかと思うんだけど……」
「ああ、私もそう思う。とすると、これと、これと、それも」
かわいらしいワンピースを中心に、アリアは次々と手に取ったものをランスに放り投げる。
「お客様、こちらのワンピースと揃いのリボンもございますが」
「それももらおう」
「ありがとうございます! では、こちらの靴などもご一緒に……」
「それもだ!」
「ありがとうございます!」
傍らで夫婦を見守る店員が、気前のいい上客に嬉しそうに頭を下げる。
「あっ、ランス! このシニヨンキャップで私とお揃いの髪型にしてやってはどうだろう!」
「ああ、親子っぽくていいね」
「だろう! いいよな! いいな、娘! かわいい娘!」
「いいよね、かわいい娘」
夫婦はかわいい娘が出来たことに浮き足立っていた。まるで年頃の娘のようなはしゃぎぶりで、眠り姫のために物を揃えていく。
何しろ『娘』だ。息子とはまた違う、親としての楽しみが増えた。