折りたたまれていたキーボードを開き、電源を入れると、目の前の空中に緑色の画面が映し出された。その上部にある入力画面に人名を入れ、検索をかける。
眠り姫が皇女殿下であると知ってから、毎日のようにこれで母親と従者の名前を探していた。
普及率は1%にも満たない情報処理装置。しかし主に使っているのは公共機関のため、ランスが直接行けない地域の情報も、その土地の役人がこれに入力してくれる。情報は世界中で共有出来て便利だった。
政府が毎日発表している戦争による戦没者、そして災害による死者、生存者の名前にざっと目を通す。身元不明者は身体の特徴も記されているから、それも慎重に読み進めていく。
国内には目星い情報はないと、セルティアから皇都の方へ検索範囲を広げていると、ふと、あることに気付いた。
「星府軍の行方不明者がやけに多い……」
クーデターのせいなのか、それとも自然災害の影響か。消息不明の名簿には1万人もの兵士の名前が載っていた。
そんなに戦が長引いたのか。それとも、魔族に攻められたのか。状況は良く分からないが、ギルド本部から精鋭を引き抜いている星府軍は魔族にも対応出来るはずだった。この行方不明者は多すぎるのではないか。
ギルド本部が出している情報になにかないかと見てみたが、星府軍に繋がるようなものは何も載っていない。
「情報規制が敷かれているのか。不自然なほどになにも書いてない……」
パソコンは便利だが、やはり自分の目で確かめないと分からないことが多い。溜息をつきながら行方不明者の捜索に戻る。
しばらく緑色の画面を眺めていたランスは、タッチパッドの上で動かしていた指を止めた。
見つけたくて、しかし見つけたくなかった名前を見つけてしまった。
『シャンテル=アルクイン』
その名前は死亡者の欄にあった。唇を噛み締めながら名前をクリックする。
居住地は皇都の西端にある村、コスティリア。年齢27歳。
ビアンカに聞いていたシャンテルの住所と年齢が一致し、肩を落とす。コスティリアに同姓同名の者はいないと書いてあるので間違いない。
死亡場所は皇都の東の港街、ジェノヴァ。死亡理由は空白となっていた。
眠り姫が皇女殿下であると知ってから、毎日のようにこれで母親と従者の名前を探していた。
普及率は1%にも満たない情報処理装置。しかし主に使っているのは公共機関のため、ランスが直接行けない地域の情報も、その土地の役人がこれに入力してくれる。情報は世界中で共有出来て便利だった。
政府が毎日発表している戦争による戦没者、そして災害による死者、生存者の名前にざっと目を通す。身元不明者は身体の特徴も記されているから、それも慎重に読み進めていく。
国内には目星い情報はないと、セルティアから皇都の方へ検索範囲を広げていると、ふと、あることに気付いた。
「星府軍の行方不明者がやけに多い……」
クーデターのせいなのか、それとも自然災害の影響か。消息不明の名簿には1万人もの兵士の名前が載っていた。
そんなに戦が長引いたのか。それとも、魔族に攻められたのか。状況は良く分からないが、ギルド本部から精鋭を引き抜いている星府軍は魔族にも対応出来るはずだった。この行方不明者は多すぎるのではないか。
ギルド本部が出している情報になにかないかと見てみたが、星府軍に繋がるようなものは何も載っていない。
「情報規制が敷かれているのか。不自然なほどになにも書いてない……」
パソコンは便利だが、やはり自分の目で確かめないと分からないことが多い。溜息をつきながら行方不明者の捜索に戻る。
しばらく緑色の画面を眺めていたランスは、タッチパッドの上で動かしていた指を止めた。
見つけたくて、しかし見つけたくなかった名前を見つけてしまった。
『シャンテル=アルクイン』
その名前は死亡者の欄にあった。唇を噛み締めながら名前をクリックする。
居住地は皇都の西端にある村、コスティリア。年齢27歳。
ビアンカに聞いていたシャンテルの住所と年齢が一致し、肩を落とす。コスティリアに同姓同名の者はいないと書いてあるので間違いない。
死亡場所は皇都の東の港街、ジェノヴァ。死亡理由は空白となっていた。